歴史のオマケ:12

狛犬/5

「日本のかたち縁起—そのデザインに隠された意味」という本を読んでいて、
その指摘にハッとした。著者は建築学の専門家で主に建築意匠を通して
日本的デザインの意味を考察しているのだが、その中に「阿吽のデザイン」
という一項がある。その最後に阿吽のデザインが社寺建築の中にとどまり、
一般民家にまでは広がらなかったことに触れ、こう書いている。
「なにより一般の人間世界とは異なったデザインという意識の方が強かったのではなかろうか。
実際、自宅を“あうん”で飾るとなると自分が別世界の仏様になってしまう理屈になるのである」
なるほど、鋭い指摘である。

よく考えてみると阿吽を取り入れたデザインというのは常に、聖界と俗界の境界線上に
現れてくる。聖俗の境界線上にあって聖なるものを守護する役割のものの中にだけ、
阿吽の形が現れてきた。金剛力士(仁王)、獅子・狛犬は言うに及ばず、
社寺建築によく阿吽の形は現れるが、いずれも聖なる空間を邪気から護る
役割のものばかりだ。そして、それ以外の場所では阿吽のものを見ることはほとんどない。
気になったので簡単な仏像事典を見てみた。数体がセットになり、そ
のセットの中で口元に開閉の区別がある仏像はいくつか見られた。

それらは概ね忿怒相と呼ばれる怒りや威嚇を現す表情をしている。
役割はいずれも護法・守護だ。ただし、口を開閉しているからといって必ずしも全てが
阿吽を表そうとしているかどうかはわからない。セットの中での口を開いているものと
閉じているものとの数のバランスが取れていない場合もあるからだ。
その意味では阿吽と判断してもよいと思われるのは、金剛力士、獅子・狛犬以外では
四天王と十二神将ぐらいのようだ。

いずれにせよ阿吽の置いてあるその内側は聖域であり、そこは神仏の場所である。
俗なる人間はそこには立ち入ってはならないということを示すサインだったのかもしれない。
阿吽となった獅子・狛犬が護るものはあくまで神仏であり、それを庶民が自宅の飾りに
用いるのは自分を神仏と同一視した不遜な行為であるという考えがあったのかもしれない。
ここから逆算して強引に論を進めるなら、阿吽になっていない中国式の獅子像の場合は
それが護るものは聖域である必要はない。だから中華料理屋の前にあっても
問題はないという言い方も出来る。だから阿吽を取り入れようとしなかったという
考え方も可能なのかもしれない。

また現在のシーサーの主流は阿吽になった焼物のシーサーだが、
それを平然と自宅に設置できる沖縄の人の思考は本土のものとは根底において
違うとも言って言えないこともないのかもしれない。もっとも現在では本土でも阿吽になった
シーサーや狛犬を自宅の玄関先や門柱上に置いている人も多い。
しかし、阿吽の意味するものを考えるなら一見それは日本の文化への関心を
表しているように見えて、実は本来の意味を逸脱した文化の断絶を示しているのかも
しれない」というHPの記事を見つけてしまった。関係があると思って載せることにする。
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写真1:本殿の感じや狛犬まで近くの八幡神社とよく似てる。
どうでもいいけどここの神木、大きい顔しすぎ。
信仰のオオモトである本殿より厚遇されているのだ。
(西区掘越白山社
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写真2:いやに茶色くなってしまった狛犬。
立派な本殿の割に狛犬は隅が欠けて何か痛々しい。
しかし、味気ない今の狛犬かよりはなんぼかいいぞ。
(西区名塚白山社
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写真3:この狛犬は肉太で筋骨隆々としている。
時々見かける割り箸が所々に挟んである注連縄付き。
この場合は横綱の綱みたいなのでマル。
(北区八龍社
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写真4:この神社には3つの時代の3つの狛犬がいる。
本殿前にあるコレはその中では一番新しい。
なんか洋風の顔だちでちょっと場違いの感じがした。
(北区光音寺六所社:昭和15年奉納)
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写真5:今まさに何かを食べようとしているのか?
そんな訳ない。意味は知らないし判らないが
この仕種「ああ、そういうことなの」という意味があるんだろう。
(西区伊奴神社
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写真6:朝日を浴びて筋肉流々チカラ強くていいんだが
この狛犬、何かこれといった特徴に欠ける気がする。
マッチョな奴にはよくあるパターンだ。
(北区羊神社
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写真7:朝日を浴びて今日もこれからお勤め開始の狛犬がいた。
「今日はドンな人が来るのかな」と
ワクワクしているように見えて結構可愛い。
(名東区貴船神社
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by TOMHANA193 | 2010-03-02 11:14


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