「こんな温泉ストリッパーのようなオドロオドロしいオバサン趣味でない」と アルバムを見て思ったあなた、記念すべき20枚目は歌もさることながら見るからに凄い ミリー・ジャクソン特集なのだ。当然この人は私のお気に入り。 1974から75年にかけて、彼女のレコードを東別院のアパートで雄サン達と聞きまくってた。 数少ない青春の思い出だな。あれから30年近く経ったが、彼女の歌はちっとも色褪せないし、 彼女のような歌い方をするシンガーも出てこない。容姿はちっともお勧めではないが、 シャウトシャウトの、汗グチュグチュの、歌の合間のファック、ファックの連発は 鳥肌もんの感動すら覚える。 彼女を例えるのはなかなか難しいが、チアキ・ナオミとテンドウ・ヨシミを足して 2で割らないでそのままの感じかな。歌がチアキで、容姿がテンドウといった所か。 肌の黒い、幸少ない下町の演歌歌手にピッタリなのだ。しかし彼女、日本では全くの無名と いっていい。名古屋広しと言えども彼女の魅力を充分認識しているのは私だけかもしれない。 あれだけ黒人の音楽に精通しているオーティスのY君もちょっと食傷ぎみなのか、 ミリーの話は聞こえてこない。でも同じ黒人でもグラディスやアレサからはしっかり 水を開けられてしまったが、下品な女の情念を歌わせたら彼女の右に出る者はいない。 知的で高尚な雰囲気のカケラもない、愛の虜になった女を歌い続ける、 ただただ頭が下がる人です。下品で隠しだてのないミリーのライブを一度でいいから 見てみたいと切望している今日この頃なのだ。 ここで彼女のライナーノートと行きたいんだが、全然知らないに等しい。 知ってる事と言ったら、1944年、米国ジョージアで生まれる。デビューは1972年 「Millie Jackson」。今までに30枚以上ものアルバムを出しているが、 ほとんど日本では発売されてない。日本へは一度来日を果たしライブを行なったが、 歌と歌の合間のシャベリはファックの連発でヒンシュクを買ったそうだ。私ですら これぐらいしか彼女のことは知らないのだ。まぁ、これ以上知りたいとも思わないけどね。 1. I don't want to be right 1曲目は「Caught up」(’74)の収録曲。トータルアルバムという手法で作られたこのアルバム。全体を貫くコンセプトは「愛」。それもディープな「愛」。ソウルの基本にのっとって作られた名版である。 2曲目も「Caught up」(’74)の収録曲。女のドロドロとした情念が抑揚を押さえて見事に表現されている。こんな歌、歌おうと思ってもそう歌えるもんじゃない。 3曲目も「Caught up」(’74)の収録曲。感極まり的ウワオー唱法とでも言おうか、ただシャウトすればいいと思ってる昨今のソウルシンガーとは一線を引くウワオーなのである。 4曲目も「Caught up」(’74)の収録曲。白人シンガーボビー・ゴールズボロのホロホロフォークソングが、ここまでソウルになるには、欲望あふれる夏の一夜とミリーのド演歌的大人の汗臭さが必要なんじゃないか。 5曲目は「Still caught up」(’75)の収録曲。このアルバムは前作の続編。益々油が乗っていい味を出している。コテコテの白人C&W曲をミリーが歌えば、それはソウル。このゆったりとしたテンポ言う事なし。 6曲目も「Still caught up」(’75)の収録曲。彼女の歌で結構ウエートを占めているカタリから入るこの曲。カタリと歌が渾然一体となり百戦錬磨の力強い女の性がうまく出ている。何度聞いてもいいな。 7曲目も「Still caught up」(’75)の収録曲。妻子持ちの男に惚れてしまったお馬鹿さんな女の気持ちを、これでもかと言わんばかりにマイクにぶつけた凄まじい歌。こんな女の人と知り合いにならなくて良かったとホッとする曲であります。 8曲目も「Still caught up」(’75)の収録曲。愛する故に苦悩し、苦悩するあまり狂ってしまうミリー、まさしく演歌演歌しているこの曲もシャウトで無事終わる。 9曲目は「Free and in love」(’76)の収録曲。安定してシャウトを連発する(意味が判らなないかも知れないが)ミリーが落ち着いてソウルしてる。まさしく一番油が乗ってる頃だな。 10曲目も「Free and in love」(’76)の収録曲。この曲を日本人が歌うとするとチアキ・ナオミしか考えられない。それくらい大人の演歌のツボがこれでもかこれでもかと満載してあるんだな。 11曲目は「Young man, older woman」(’91)の収録曲。不遇時代の曲。突然の低迷。何があったんだろう。ただ感情だけで歌ってる彼女にはありがちなことかもしれない。それにしても長いトンネルだな。 12曲目は「RocknSoul」(’94)の収録曲。久しぶりで彼女のCDを見つけた。なんか整形をしたみたいだ。歌よりそっちの方が気になった。しかし、彼女の歌は相変わらずゾクゾクさせられるな。迫力満点のシェープアップしたミリーの歌声が聞けます。 13曲目も「RocknSoul」(’94)の収録曲。こうして彼女の歌を聞いてくると、他の黒人シンガーのように歌の上手さでまとめるんじゃなく、ストレートに感情をぶつける女のシタタカさに驚き、次に感情移入がずば抜けている事に圧倒される。このテで彼女を越えるシンガーはもう出ないかもしれない。 14曲目は「The Sequel」(’97)の収録曲。このCDあたりから長年の沈黙を破って再起を果たしてくる。まさしく演歌の歌詞に出てくる不死鳥のように。 ラストは「The Sequel」(’97)の収録曲。ミリー・ジャクソン特集最後の曲はこの曲に決定。暫くというか長く低迷を続けていた彼女が久々に出したヒット曲。やればできるじゃないのという感じ。いつまでたってもシャウト心を忘れずに、あくまでも下品に元気でやってもらいたいものだ。日本の名古屋から1人のシガナイオジサンがいつまでも応援しているぞ。 まぁ、この5枚を聞けば全てが判っちゃう。 Millie Jackson/’72 It Hurts So Good/’73 I Got to Try It One Time/’74 Caught Up/’74 Free and In Love/’76 の初期の頃の5枚。 こうやって、改めてミリーの曲を聞いてみて思ったことたが、彼女のようなタイプのシンガーは 黒人にも稀で、いわんや日本人には影も形も存在しないタイプ。 それほど存在感と力強さが歌にホトバシっているのだ。カタリと歌を上手くミックスさせて、 黒人ソウルには稀な徹底的にシモネタ指向のミリー節に仕上げてる。 僕はこれからも恐いもの見たさで彼女の歌を聞き続けるのかな。 それでは続きは又の機会にジャン! それまでのレコードの概念を打ち破ぶる画期的な1枚だった。
by TOMHANA193
| 2010-03-02 12:12
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人生の御負け
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