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リハビリ日記:53

新年の挨拶の話

この歳になってくると年の変わり目である今頃は時間軸というものが過去から未来へ
一本の流れとなって動いて行くものだということをすごく実感できるような気がする。
この時間の流れというものは誰にも止めようがないし、ただ逆らわず流されていくしかない
ということだ。「明治は遠くなりにけり」という歌もあるようだが、大正生まれの両親を
既に亡くしている私としては「大正は遠くなりにけり」であり、もう間もなく「昭和は
遠くなりにけり」というようなことになってしまうんだと思う。時間軸において過去は
どんどん過ぎ去って行くが未来はぐんぐんと近づき現実となって現れる。
過ぎ去って行った過去は何処に仕舞われるのだろうか(ちょっと疑問に思っただけ)。

子供の頃には茫洋とした夢の中のイメージでしかなかった21世紀だったが現実に今、
自分がその21世紀という時間の中にいるという現実は何とも拍子抜けな気分でもあるし、
なってしまえばそういうものかと達観した気分にもなる。なんとも不思議な気分ではある。
時間軸をよく二次元の数直線で表すことがあるが、西暦を数直線で表すと
ちょっと妙なことが起きる。紀元前1年(BC1)の翌年は紀元1年(AD1)であり、
数直線上から当然あるべきゼロが消えている。

これは6世紀にグレゴリオ法皇の命によって西暦が定められた時に本来、
キリスト誕生の年を西暦紀元0年とすべきところをどうした訳か西暦紀元1年として
しまったことによる。その安易な行いが全ての根源にあるという。だから西暦から
キリストの実年齢を出そうとすると(そんなコトを考える人はまずいないと思うが)、
西暦から何故か2を引いた数が実年齢(一応誕生日と言われている12月25日が過ぎると
マイナス1が実年齢)となる。キリストの誕生日についての四方山話はまたの機会にしよう。

去年の暮れにはインド洋大津波が起きて一瞬の内に14万人以上の人々の命を
奪ったりと去年も多くの人々が亡くなった。2004年有名人物故者リストを見ていても
「人とはみんな死に行く者」との感を強くする。親しい人の中では幸にも昨年去っていった人は
いなかったみたいだけれども、時とは一人一人の死を一緒に押し流して
過ぎ去って行くみたいだ(過ぎ去って行った人は何処に集合しているのだろうか)。
人の死が否が応でもどんどんと過去のこととなっていってしまうこの止めようのない
時間の流れが何とも悲しい。しかし、そんな時間の流れに抗うこともないままに、
生きている者は今日をそして明日へと進んでいかなければならない。

「この世は舞台、男も女も役者に過ぎない」といったのはシェークスピアだったのか。
けだし名言ではある。自分も暫しの間、この世の舞台で精一杯なんらかの役を演じて、
喝采もないままにいつしか舞台を去っていくということなんだと思った時、
人生とはなんて罪深いものなんだろうと思わざろう得ない(しかし、こんなことは年に1回、
新年の時に感じるだけで後はそのことすらも忘れてしまう)。そして2005年にも
多くの出来事と多くの人々の死が多分あるのだと思うが、時が過ぎ去ってしまえば
「過ぎてみれば、すべてこの世はこともなし」ということのようだ。
この言葉もシェークスピアだったかな、それとも聖書に書いてある言葉だったろうか。
どうしてもしんみりとしたものになってしまうのは人生の峠を越えた者の気持ちが
そうさせるのだろうか。それとも心と身体の障害を持った者の悲哀だろうか。

今年、私は52歳を迎える。今、日本人男性の平均寿命は約77歳、女性は約83歳。
世界で一番の長生きだという。しかし、若い時から激務をこなしてきた証券マンや
商社マンの平均寿命は67歳に過ぎないというし、生保会社の支社長や証券会社役員を
務めた人の平均寿命はわずかに63歳。濃いアルコールを好むロシア人男性の平均寿命は
60歳前後に過ぎない。そして健康意識が乏しかった昭和22年の日本人の平均寿命は
たったの52歳だったという。「去年(こぞ)今年 貫く棒の 如きもの」高浜虚子が
この句を詠んだのは幾つの時のことだったのかは知らないが、あっという間に
過ぎ去っていく時の流れというものが実は太くしかも激しい流れだという感覚は
諸々のことがあった私には今更ながら強く感じられる。

しかし、自分にとっての時間は激しく過ぎ去り移り変わってはいても、
毎日の見慣れている何でもない景色のような本来の時間の流れというものは
一見何の代わり映えもないかのようにゆったりと、あくまでゆったりと流れているもの
なのかもしれない。時間は悠久な存在だけれども人の一生はその中のほんの一幕でしかない。
ゆったりと流れる時間という大河の中の小さな小さな渦の一つが我々の人生なんだろう。
私はそれでいいと思う。そして短いなりの一幕を大切にしていこうと思う。

ほとんどの日本人は代表的な9つの病気のどれかで死ぬそうだ。
その9つの病気とは心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、胃ガン、肺ガン、肝臓ガン、
大腸ガン、すい臓ガンの9つ。女性ならそれに乳ガンと子宮ガンが加わる。
ということは、脳梗塞になっても死ななかった私はひょっとして長生きするの?
そんな訳はないわな。そんなことを考えていた2005年の元旦でもあった。
新年そうそう雑煮の餅を腹いっぱい食べちゃったような、正月の祝い酒に
ほろ酔い加減になったような、たわいもない話ばかりで申し訳ない。
まずは新年の挨拶まで。今年もよろしくお願いします。
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情景写真:53
by tomhana193 | 2010-03-04 11:33


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