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名古屋巡礼記:10

万松寺

∴抹香を手づかみにするなり父信秀の位牌に投げつけたという
テレビでお馴染みの“信長ご焼香事件”の舞台が、なにを隠そうココ亀岳林『万松寺』だ。
由緒書きには「曹洞宗、能登国総持寺末、1540年古渡城主織田備後守信秀
(信長の父)の建立。そして大雲和尚(信秀の伯父)の開山。天文18年信秀死去に伴い
葬儀をココ(信長の頃は移転前の中区錦2丁目あたりにあったようだ)で執り行われた。
そして、1610年名古屋城築城にあたり現在地に移転。戦前、秋には境内にて
見せ物小屋、菊人形の黄花園が大盛況であった。現在パソコン関係のイベントが
境内にてたびたび催され1日5回のカラクリ人形が上演されている」とある。

∴さらに「1570年織田信長が越前朝倉氏を攻略した帰路、琵琶湖の北にある
千草越えの時に杉谷善住坊という鉄砲の名手に狙い撃ちされた。
日頃から信心深かった不動明王の加護によるものか(この話はでっち上げで、
信長といえば比叡山焼き討ちで有名なんだから)、2発の命中弾は信長の懐中にあった
干餅(兵糧)に当たり、かすり傷程度で難を逃れたという。
その餅は万松寺和尚からもらい受けたものだった。その後名古屋城構築の折り、
万松寺に滞在した加藤清正がこの話を聞き“身代わり不動”と命名した。
また当時の人々は門前の茶屋で売っていた餅を“身代わり餅”と称して
災難厄除けに争って賞味したという。

∴現在、この茶屋はなくなったが毎月28日この由緒を伝えるため境内で餅をつき、
参詣の善男善女に厄除けとして無料で配られる」とたいそう立派な話が延々と続くが、
私は昔から「この寺はなんかうさん臭い寺だなぁ」と思っていた。
その気持ちは今でも変わらない。それを思ったのが、ここの副住職が宗教人と
ソフト開発会社の社長という2つの顔をもっているという話を聞いてから。
「おかしいと思ってはいたが、やっぱりな」と私の中でこれはもう確信へと変わっていった。

∴それ以来、私なりにチェックしてきた。まず寺で働いている若い坊主が
いかにもヤンチャそうでいけない。どこから連れてきたのかは知らないが
とにかく目を合わさない。合ったら合ったで「ケッ」とほくそ笑む感じでなんとも締まりがない。
人生の修行をしてるとは全然思えない軽薄さがもろに顔に出てる。
若い坊主が坊主なら、その上に立つ住職も住職だ。

∴たしか昔見た『座頭市』に出てくる名優上田吉次郎演じるドモリの親分の口癖
「い、いいから、てめえら信長の野郎を、たたっ切れ!」といかにも言いそうな、
そんな仏の道に就く者とは思えない強欲そうな住職が柱の影からチラッとこちらを覗いてる。
名古屋のアメ横「万松寺商店街」の影のオーナー。袈裟を被った太っ腹の大地主だ。
そもそも、ここはハイテク寺だ。国宝だか重文だかのために監視カメラもたくさんあるらしい。
鐘楼もあるそうだが実際に鐘を撞くのは大晦日だけで、普段はMIDIを流しているという話だ。
そう、万事が万事そういう寺なの。そもそもこんな寺でゴリヤクを求めるのは
初めっから間違っている。ココで一口豆知識。三河の松平竹千代(後の徳川家康)が
6歳から2年間ココで暮らしたことがある。また、元禄御畳奉行の日記
(確か中公新書にある)で有名な朝日文左衛門が畳見分をしたお寺でもある。

∴ショウモない万松寺の話はこれぐらいにして、HPを見てたらちょっと気になる、
しかも為になる記事を発見した。万松寺商店街にある甘栗の今井総本家の直営店に
大判焼に似た『栗子焼』なるものがあることは先刻ご存知だと思う。
がそこに、栗の粒入り栗あん使用の豪華『栗あん』というものがある。
もうひとつこれはどうだ、大人気!1日限定100個の『栗かぼちゃ』なる幻の栗子焼きがある。
それではこれはどうだ、食べ残してしまった天津甘栗の美味しい調理方法は?
という質問に◎甘栗を食べ残された場合は皮をむいて冷蔵保存しておき、
茶碗蒸しや煮豆との炊き込み等に入れていただきますと、美味しく召し上がれます。
◎そのままの状態で硬くなった場合(1週間程度の経過)はフライパンで数分間被せ
蓋をして温めていただくと、やわらかくなり召し上がれます。という答えが親切にも載っていた、
どうだ。たまにはこういうHPを見て、社会の動きについていくことも大事なんだと思った。

∴毎月、近所の店子から入る賃料だけでも莫大に潤おってる超ナリキン寺。
まさしく上田吉次郎似の住職がヤルこんな寺にワザワザ賽銭をくれてやる必要は
サラサラないと思う。もし、こんな寺の坊主に何かの加減で賽銭を上げて
お供を読んでもらったりでもしたら、きっと草葉の陰で御先祖様はじめ
信長から清正までずらっと並んでワナワナと怒っていることだろう。
それは腐っても鯛じゃなくて、腐ったらただの汚物。
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写真1:いかにも下町にある庶民の“信仰の霊堂”といった赴き。
それにダマされてはいけない。シタタカな計算が隠されている。
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写真2:本堂の左側になぜかキツネに守られた「白雪稲荷」がある。
寺院の中に神社が合体された不思議なところだ。
by tomhana193 | 2005-12-19 14:36


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