今回はリードギター担当のYクンについて書こうと思う。 話は15年くらい前にタイムスリップする。研チャンがCBCの近くの雑居ビルの2階にあった 店に連れてってくれた。店の名前はオーティス・レディングに引っ掛けたかどうかは 知らないけれど OTIS' といった。ジュークボックス(もちろん全曲R&B)が置いてある カウンターだけのバーで、マスターは鹿児島男児で私より5〜6歳上、 何故かテンプテーションズの死んだMelvin Franklinに似ていた。 そして、この店に従業員として働いていたのがYクンだ。 童顔なので若そうに見えるが歳は私と5歳ほどしか違わなかったはずだ。 あの頃は夜な夜な飲みに出歩いて、最後はこの店に辿り着くというのがパターンだった。 何とはなしに話していると、昔私が今池のユッカで歌っていた頃、 Yクンも今池のオープンハウスというライブハウスでギターを弾いていたことが判った。 このオープンハウスという店は日本の数少ない本格派ブルース・シンガーである 近藤房之助が高校を卒業してから暫くの間働いていた店で、その時のオーナーが 何を隠そう現在のOTIS'のマスターという数奇な物語が展開されていた。 元々、YクンはVolleyballsというR&Bバンド?の創立からのオリジナルメンバーで、 今でもVolleyballsは定期的にライブをコナシているという。 そんなYクンとは店でレコード談義にハナを咲かせたり、アポロシアターという R&Bの店に出ていた石河サンのバックでギターを弾いていたのを見に行ったりと、 あくまで昔から音楽に携わってきた、いわば戦友みたいなフランクな関係が長く続いた。 というのも、その頃の GOOD OLD BOYS には既に福チャン(彼は高校生の時から ユッカのブルースセッションライブに飛び入りしてた経験の持ち主)という ギターリストがいたし、バンドとしても何にも問題はなかった。 その頃 GOOD OLD BOYS のメンバーはというと、ドラムに小森、ベースにヤギ、 Aギターには私と雄サン、Eギターに福チャン、キーボードには河野君、 シンガーとして研チャン、Iクン、紅一点の桑原さんと何と9人(何にも考えないで 誰かが誰かを連れてきたのでこうなった)もいた。しかし、案の定こんな状態が 長く続くはずもなく、ある日福チャンの「別なバンドでやりたい」という発言から 急転直下モロクモ空中分解してしまった。そんな事もあって、 増々私は OTIS' で酒を飲む機会が多くなっていた。 Yクンと GOOD OLD BOYS の繋がりは時々思い出したかのようにヤッていた ブルース特集のライブでリードギタリストとして手伝ってもらったのが始まり。 私の認識からするとYクンはこれまでもブルースやR&Bの黒人音楽ばかりヤッてきたし、 多分それはこれからも変わらないと思う。だからブルースばっかりやるライブは 全然問題ないのだが、例えばトム・ウェイツをはじめとする シンガーソングライター系の曲や3拍子のコテコテのカントリーなんかは ハタシテどうなんだろう(リードギターなら知らない曲でも何とかやれるものだが)。 ヤレるヤレないというよりも「そんなに好きでもない曲を、ましてや知らない曲を ムリにやらせるのもなんだな」という気がしていた。 だから私も気を使ってライブの告知ポスターにはYクンのことは あくまでゲストとして扱っていた。しかし、今までヤッたことがない曲が妙に気に入ったのか (今でも3拍子の曲は苦手のようだが)、雄サンとのギターアンサンブルが気に入ったのか、 練習(基本的にはライブの直前に曲目確認を兼ねて1回だけしている)にも 率先して出てくるようになった。そうこうするウチに自然にゆっくりと溶け込んでいった (今まで一度もちゃんと聞いた事のない「何故こんなバンドに入ったのか」ということを、 今度聞いてみようかな)。今では皆勤賞を続けている。 Yクンの18番は何といっても マジック・サム の曲だ。マジック・サムといっても 知ってる人はほとんどいないはずだ。そういう私もレコードを1枚(デルマーク盤だと 記憶しているがタイトルは忘れてしまった)持ってるだけでそれほど記憶にも残ってはいない ブルースマンである。しかしYクンは私が知っているだけでもマジック・サムバージョンを3曲 (彼の歌った曲は彼のオリジナルの曲ではなくあくまでアレンジしたものだったはずだ) 取り上げている。Yクンのブルースにおいて彼を外すことはできない大事な人だと思った。 そしてもう1曲、Yクンといえばフレディー・キングの Same Old Blues という曲も思い出深い。 思い出1:まだバンドとしてのつき合いがなかった頃「フレディー・キングの Same Old Bluesの歌詞カード持ってませんか?」と聞かれたことがあった。 その頃、CDは再発されていたんだが歌詞カードまでは付いていなかった。 それでレコードを持っていた私にオハチが回ってきたんだが アイニク何処かに貸してしまったのか入っていなかった。後から聞いた話によると 探していたのは近藤房之助(後日、この曲をレコーディングしたという)だったんだけどね。 思い出2:バンドに参加して間もない頃「次のライブに何やる?」とYクンに聞くと 「それじゃ、Same Old Bluesでもやろうかな」と答えるじゃない。 「いいよ」と私は楽譜ファイルから問題の曲の楽譜を取り出して(その頃、私もやろうと 秘かにCDからコードを取っていたのだ)早速音合わせすることになった (Yクンは当然楽譜など持ってきていなかった)。私もこの歌には思い入れもあり、 できることなら私の持ち歌として取って置きたかった。 それで、お手並み拝見とばかりにYクンにやらしてみた。それがどうだ、イントロから完璧。 それにYクンの探したコード進行は私が探したコードなど子供のお遊びみたいに 色褪せて感じるほど完璧だった。「ウ〜ン」というなり「この歌はあんたの歌だな」と 白旗を上げて全面降伏するしかなかった。 3度のメシよりライブが好きな彼のこと、我がバンドの今ある腑甲斐無い状態を 嘆いていることだろう。私も、もっともっと彼の新しい面を引き出してやろうと 色々考えていたが今となってはナントモハヤ、全てが後の祭りになってしまった。 次回はGOOD OLD BOYSのブルース部門のスペシャリストである教授ことIクンの 歌と人とブルースハープのことについて私が知っていることや 私が思ったことについて私の目を通して綴っていこうと思う。 それまで、乞うご期待としておこうか。♪ジャジャジャ・ジャジャジャ・ジャ〜ン♪オ〜イェ! (Iクンのオハコであるジュニア・ウェルズの「I Don't Know」のエンディングなのネ!) よく見るとオジサンだが、ブルースを弾かせたら不思議と色気があるんだよな。
by tomhana193
| 2005-12-20 10:26
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人生の御負け
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