前回はマジック・サムの話で終わってしまったが、もう少しY君の話を。 その他のブルースでは以前書いたようにフレディー・キングの名曲「Same old blues」とか エルモア・ジェームズのスローブルース「Sky is crying」なんかを歌っていた。 ブルース以外ではサム・クックの「Cupid」とかレイ・チャールズの「Crying time」を、 難しいところではオーティス・レディングの「That's how strong my love is」を歌っていた。 余談だが「Crying time」では私もコーラスパートを受け持って一緒にハモっていた。 他にもまだまだあったんだが、如何せんY君には楽譜を作るという概念がないし、 曲名で憶えるという気もなかったみたいだったのでこれだけの情報しか今私の手元には 残っていない。とにかくブルースとY君とは自他共に認める切っても切れない関係なのだ。 私の場合でもY君がいなかったら歌っていなかった、いや歌えなかったブルースが結構ある。 例えばケブ・モの「Slow down」やジェームス・コットンの「One more mile」なんて 歌は歌えなかっただろうな。→ケブ・モのSlow down ブルースの色濃い我がGOBで一番ブルースシンガーらしいと言えば、自他共に認めるI君だ。 童顔でしかもブルースハープはお世辞にも上手くない彼(彼の再加入する前にいた ブルースハープ、名前を広瀬君と言うのだが性格的には問題があるものの 腕前はピカイチだったので、I君のハープのアラがより際立ってしまう)だが、 そんなに器用な方でないからこそツボに入った時の彼の歌うブルースほど、 まさに「これぞブルース」と思えるものはない。そう思っているのは私だけではないはずだ。 一度彼の歌を聞いてもらえば納得してもらえると思う。 I君の18番はジュニア・ウェルズのブルースを歌う時だ。私が思うピカイチは何と言っても 「I don't know」だ。今だ彼ほどにこの曲を歌いこなした日本人を私は知らないし、 多分何処にもいないんだろうな。何故ならこの曲は語りのブルースであって 日本人の好きな楽器(リードギター)のブルースのちょうど反対側にある、 いわゆるホンモノのブルースだからだ。→ブルース・ブラザースのI don't know 一応、便宜的に「語りのブルース」と言ってきたが、要はリードギターや ブルースハープは味付け程度でボーカルの歌う歌がメインのブルースと言ったらいいのかな。 ちょっと聞き慣れてくるとジュニア・ウェルズの歌う曲とクラプトンやゲーリ−・ムーアが 歌う曲とでは同じブルースを歌っていても何かが違うと気が付くはずだ。 その違いがボーカル力の差というのか、ボーカルがメインとそうでないものとの 違いとでも言おうか、要は黒人の歌うブルースとそうでないものとの違いなんだな。 ギターとかハ−プというのは練習すればそれ相応に何とかなるが、ボーカルはそうはいかない。 ココ日本を見ても本物のブルースを歌える人は何人もいない。そんな貴重なボーカリストの 間違いなく彼もその1人なのだ。最近は私もこんな状態になっているし、 彼も本業(某私立大学の教授)が結構忙しくなってるみたいで新曲を披露するのも 間々ならないみたいだが、そう言っても昔から歌ってきた黒人ブルースの曲が 10曲以上はあるんじゃないのかな。→BB キングのThe Thrill is gone 彼の歌うブルースでは前に「I don't know」がいいと言ったが、この曲はずっと前に 映画「Blues Brothers」であのジョン・ベルーシが歌っていたので知っている人が いるのかもしれないし、トッツキ安さからいったらピカイチの曲。 しかし、それはブルースをあんまり知らない人にはそれでもいいが、 ブルースをかじった人には少々物足りない(なんせ、いい加減なベルーシですら 歌っていた歌だから)はずだ。そんな人でもちゃんと納得できるシカゴブルースを I君はちゃんと歌ってる。それはジュニア・ウェルズの「Early in the morning」という歌だ。 この歌、当然日本ではI君以外でまだ聞いたことがないジュニア・ウェルズのというか、 シカゴブルースの名曲中の名曲なんだが、実は私も秘かに狙っていた。 しかしI君の歌を聞いてあっさり諦めざろう得なかった。「とてもじゃないがあんな風には 歌えない」とすごすご引っ込めた。それ以来、当然ジュニア・ウェルズのブルースは 彼に全てまかせてしまった。→ジュニア・ウェルズのEarly in the morning
by tomhana193
| 2005-12-20 10:48
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